(11)PR(プルーフリライティング)ガイド−「その1(整文・修文)」
 反訳文書の品質は、プルーフリライターの知識と技能によってそのすべてが左右されます。「プルーフリライティング・ガイド」では、少しでもお客様に良い商品を提供することができるよう、「大規模反訳工場」を目指す「おこしれん」の「整文(修文)」の基本的考え方を示したものとなっています。

 言うまでもなく、さまざまな文化的背景を持つ複数のリライターが反訳した文書を統一表記して標準化することは、もともと不可能なことであるとの共通認識があるかもしれません。
 しかしながら、現実問題として、「おこしれん」のリライトグラフィー業務を、期待される品質を保持しながら決められた納期で処理する方法は、「JRGA標準」に準拠した表記の統一を熟知した優れたプルーフリライターの整文(修文)技術に依存するしかありません。

 リライターの職業としての魅力は、統一表記そのものにあるのではなく、限りない自己啓発・自己向上にあります。未知の分野における新しい情報に触れることを通して、社会を知り世界を知り、また自分自身をより深く認識することができます。
 反訳業務に不慣れなリライターの反訳文書を、限られた日程の中で整文(修文)することは、プルーフリライターにとっても苦労の多く経験が求められることですが、プルーフリライティングを通して「知らないことは聞こえない」はずの知識領域が急速に狭まっていくことが体感できると思います。

 見ることのない話者の意図をくんで、より適正な日本語を表記しながら、新たに関心や興味を持つ分野の探索・発見が、プルーフリライティングの大きな楽しみでもあります。
 国語に関する表記ルールは、あまりにも多様で個性のある言葉自体を取り扱うことから、そのすべてを記述することはできません。しかし、リライターの反訳文書を、ある意味で評価・採点するプルーフリライターの立場を考えると、最低限のガイドラインが必要になってきます。
 この「プルーフリライティング・ガイド」は、あくまでも「基本的な考え方」を提示したものとして理解し、だれにとっても一つの目標となる「美しい日本語の体現者」に向けた自己実現を目指していただきたいと思います。

1.整文(修文)
 プルーフリライターの役割は「整文(修文)」にあります。俗に「毛羽取り」などとも言われますが、もともとテープに録音されたものは「話し言葉」であり、これをそのまま忠実に文字化することは必ずしも良い文章にすることになりません。
 反訳された原稿は、読むためのものであり、話者の言いたいことをより明確にして「読みやすく」、「分かりやすい」文章にすることこそ求められています。そのためには当然ながら「美しい国語表記」にする知識と技能が必要になってきます。
 話者の発言に対して、このような視点から最小限の手を加えることを「整文(修文)」と言います。いろいろなところで「整文の定義」や「修文の定義」が記されていますが、ここではそうしたことにあえて触れず、ノーサイド・ドキュメント・センターの「良い品質管理」のための必要な表記ルールと理解してください。


 整文(修文)の体系は、次ページに示すように、
(1)文章の形式・表記から見た整文(修文)
(2)文章の構造・体裁から見た整文(修文)
(3)文章の意味から見た整文(修文)
(4)その他の整文(修文)
の4分類からとらえることができます。

 整文(修文)は実際のケースでいろいろな処理の仕方があり、同じ文例でも経験やセンスが違うリライターやプルーフリライターでは違った処理をする可能性があるものですから、「プルーフリライティング・ガイド」はあくまで整文(修文)の基本的な考え方を記したものと理解し、これに沿った実践的な応用ができるようにしてください。


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